クリニック経営コンサルタントに依頼する前に整理すること
クリニックの課題を解決する専門家であるクリニック経営コンサルタント。
実際にコンサルタントに依頼する前に、どのようなポイントに絞って相談すれば問題を解決しやすいのか、クリニックのフェーズごとに説明いたします。
依頼する前に整理すること①
どんな商品やサービスにもプロダクトライフサイクル(導入〜成長〜成熟〜衰退)があり、クリニックも同じで開業(知ってもらう)→成長(どんどん患者が増える)→成熟(患者がピークで安定)→衰退(患者が減少)というサイクルを辿ります。
クリニックにおけるプロダクトライフサイクル
コンサルタントにも得意とするステージがあります。最も多いのが成長期もしくは成熟期を手伝うコンサルタントです。衰退期、もしくは立て直しフェーズに対応できるコンサルタントは少ないですが、衰退期、立て直しフェーズに対応できるコンサルタントはほぼすべてのステージで対応できます。
なぜなら、立て直しフェーズは事業を再度作り直す仕事であり、衰退期から再び成長フェーズに入る成長期に戻すことが求められるからです。
理想の成長曲線におけるコンサルタントの役割
プロダクト ライフサイクル | クリニック開業 | 成長期 | 成熟期 | 飽和期 | 衰退期 |
事業の伸張状況 | 認知を図る | 事業が拡大 | 事業が緩やかに 拡大 | 売上が天井 | 売上が低下 |
コンサルタントに求められる 基本的な役割 | 事業の伸張 | 事業の維持 | 事業の維持 | 事業を再構築し、 成長曲線に戻す | |
対応出来る コンサルタント | ・経営コンサルタント ・特化型コンサルタント ・事務長代行 | ・経営コンサルタント ・事務長代行 |
理想の成長曲線から離脱した時のコンサルタントの役割
プロダクト ライフサイクル | クリニック開業 | 成長期 | 成熟期 | 飽和期 | 衰退期 |
事業の伸張状況 | 事業が拡大中に売上が減少に転じる | ピーク期間が短く終わり、 売上が低下 | 売上が低下 | 売上が低下 | |
コンサルタントに求められる 基本的な役割 | 立て直して成長曲線に戻す | 立て直し、売上をピークに持っていく | 事業を再構築し、成長曲線に戻す | ||
対応出来る コンサルタント | ・経営コンサルタント ・事務長代行 |
コンサルタントに依頼したいと思ったとき、クリニックがどのフェーズにあるのかをまずはご確認ください。
確認項目
- 事業の成長スピードに内部が追いついていないのか
- 患者数は安定しているものの業務過多で手が回らないのか
- 院長とスタッフとの距離ができている場合、スタッフが大量離職したり、大量離職しそうな場合、売上が下がったり、患者数が減少したりしているなど逆回転している状況なのか
フェーズの認識を間違えると時間と費用のロスを生む可能性が高くなりますので十分にご注意いただきたいです。
依頼する前に整理すること②
自院がプロダクトライフサイクルのどのフェーズにいるのかをご認識いただけたら、体制と課題の整理です。
施策展開は自院で実行できる | 施策展開も外部の力を頼りたい | |
課題が明確 | ・課題分野の専門コンサルタント ・経営コンサルタント ・事務長代行 | 事務長代行 |
課題が曖昧 (漠然としている) | ・経営コンサルタント ・事務長代行 | 事務長代行 |
冒頭に書いたように、施策を内部で実行できる余力があるのか、ないのかは大きな違いです。具体的には、何か施策を展開するにしてもスタッフにも協力を得る必要があり、院長の指示一つでスタッフが動くのか、スタッフを巻き込むことから始めないといけないのかで依頼先が変わります。
内部で施策を実行する余裕がない場合は事務長代行に依頼するのがベターだと言えます。
内部で施策を実行する余裕がある場合は、コンサルタント、もしくは事務長代行のどちらに依頼しても構いません。
ただし、依頼したい課題が明確であればその分野を得意とする会社、もしくはその分野の専門にしているコンサルタントに依頼すればよいといえます。
逆に、課題感はもっているものの具体的にどうしたらよいかわからないという場合は、経営コンサルタントに依頼したらいいと思います。
そういったものも含めて整理するのが面倒だと思われる方は、経営コンサルタント、もしくは事務長代行の方に相談されるのがベストです。
クリニック経営コンサルタントを選ぶにあたって(選ぶ際の注意点)
実際にコンサルタントを選定するにあたって、何を重視すればよいのでしょうか?
まずは先生との相性です。
経営の一部を担うことになるコンサルタントは先生と信頼関係を築いていく必要があります。まずはその部分をクリアできるか、じっくり確認してください。
その上で、コンサルタントの実績を確かめるようにしましょう。
どんなクリニックでどんなことをやってきたのか、数字で語れるかが大きな分岐点になります。
なぜなら経営コンサルタント(事務長代行)はクリニックの経営に携わっているので任された依頼で成果を残さなければなりません。その成果は数字に紐づいているからです。数字が曖昧な場合は狙って成果を出したのではなく、偶然、成果が出た可能性があるといえ再現性まで期待できない場合があります。
契約期間の確認も重要です。
経験上、事務長代行含め経営コンサルタントが業務を開始してから6ヶ月あれば何らかの成果を出すことができます。そのため、契約期間は6ヶ月あれば本来はOKと考えています。
しかし、よく耳にするのは1年契約です。もし、このコンサルタントでは成果がでないと判断した場合も含めて、7ヶ月目以降は途中解約できるような条項があるとクリニックにとっての損失は最小限に抑えられると言えます。
コンサルタントとは一度契約するとそれなりに長い期間お仕事をする事となります。
先生と息が合えばこれほど強力な存在はいないといえます。先生にとってよいパートナーが見つかることを期待します。